おばあちゃん

私は小さい頃、一緒に住んでいたおばあちゃんの日常を見ながら、「おばあちゃんは一体何を夢見て、楽しみを持って生きているんだろう？」「何もなさそう。じゃ、なんでそれで生きれるんだろう？」とこっそり思っていました。

私はまだ小さかったので、いろんな夢があり、こうしたい、ああしたい未来が沢山ありました。
それを思い描くだけで、日々頑張れたし、楽しみが増えたし、そこに生きる価値があると思っていました。

でも人生の終盤にかかったおばあちゃんには、どうもそんなものはなさそうです。
だからこそ、どうして淡々と日々生きられるのか・・・飽きないのか・・・不思議でした。
そして、「私も歳を取ったら、こうなるのかしら？」と不安を覚えた記憶もあります。

ただおばあちゃんは、淡々と生きていても、それはそれで幸せそうでした。
与えられるすべてのものに満足し、そのまま受け入れ、穏やかでした。

最近、人生も半ばになり、少しだけ、おばあちゃんの気持ちがわかるようになりました。
私が小さいころ持っていた半分幻想のような夢は必要なく生きている自分がいます。
おばあちゃんの事を、不幸だったとは思いません。
つまらない人生を送っていたとも、もう思いません。
歳相応の幸せの暮らし、穏やかな暮らしの中にいたのがわかるようになりました。
自分も歳をとったのかもしれませんが、日々の当たり前のことの繰り返し、何でもない日常の繰り返し、あっという間に次から次へと流れていく季節。そして、また繰り返し・・・。

これ以上、何もいらない普通の暮らしが、とても幸せなことに思えます。
私は、おばあちゃんと違い、趣味もあり、友達とも会い、日々いろいろなことに挑戦していますが、仮にこれら全てのアクセサリーがなくなったとしても、日々の暮らしがトントンと滞りなく続いているなら、それでオーライな気さえします。

最近４５歳になり、やっと、おばあちゃんの幸せを理解し始めました＾＾